診療科のご案内

泌尿器科

皆様へ

超高齢社会を迎えたことに伴い、泌尿器科患者に占める高齢者の割合が増加しています。治療はより侵襲を少なくし、早期の術後回復、合併症の発生を減らすことが必要です。また、機能温存治療(手術)、QOL(生活の質)を重視した治療が求められる今日、地域の皆様のご要望に応えられるよう、心がけております。
泌尿器科が担当する疾患は、下記「泌尿器科が扱う主な病気」の通り多岐にわたり、様々な症状があります。気になることがありましたら、お気軽に受診ください。

<気になる症状>

・排尿に時間がかかる、トイレ回数多い、尿がでにくい、漏れる。
 ⇒ 前立腺肥大、神経因性膀胱、過活動膀胱、尿路異物、結石、尿道狭窄、腫瘍など。

・排尿時に痛みがでる、背部痛・下腹部痛、血尿。
 ⇒(急性)膀胱炎・前立腺炎、腎盂腎炎、結石、悪性腫瘍など。

・女性の方で、下腹部や膣のなかにものが降りてきたような違和感、入浴時に膣から丸いものが触れ、夕方になるとひどくなる、常に股の間にものがはさまった感じ、尿や便がすっきりでない、下着の汚れが気になるなどの症状。
  ⇒ 骨盤臓器脱など。女性の1割に軽症~重症の方がいると言われています。

泌尿器科が扱う主な病気

腎臓癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、副腎腫瘍、前立腺肥大症、尿管・尿道狭窄、神経因性膀胱、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎、腎盂腎炎、尿道炎、尿失禁、骨盤内臓器脱、過活動膀胱、尿路結石症。小児泌尿器科疾患については専門病院に紹介しています。

泌尿器科の特色

腎臓・尿管・膀胱や男性生殖器(精巣・前立腺)、骨盤臓器脱(女性の子宮脱、膀胱瘤など)、さらには副腎といった内分泌臓器まで幅広い病気を治療しています。当科では、腹腔鏡・内視鏡手術を積極的に行い低侵襲治療に心がけております。
2020年10月から、BioJet®システムを用いた「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」、2022年4月からは「経尿道的前立腺吊り上げ術」を行っています。個々の患者さんにあわせた診療を診断から治療まで一貫して行い、早期診断・早期治療、患者負担の少ない診療を目指しています。
また、前立腺癌は血液検査で疑いの有無を判断し、癌が疑われる場合には、精密検査を行い、早期発見に努めています。

経尿道的前立腺吊り上げ術について

新たな前立腺肥大症の低侵襲治療

当院では、前立腺肥大症に伴う排尿障害に適応される植込み型前立腺組織牽引システムの治療を開始しました。2022年4月1日から医療保険が適用となった、排尿障害に対する新しい低侵襲治療です。
この治療は「経尿道的前立腺吊り上げ術」とも呼ばれ、肥大した前立腺組織を持ち上げて固定し、インプラントを永久的に留置して尿道を拡張する方法です。
前立腺組織を加熱、切断、破壊、切除することがなく低侵襲で行えます。

治療の流れ
1

閉塞した尿道にデリバリーシステムを挿入し、肥大した前立腺にアプローチします。

2

肥大した前立腺組織を持ち上げて固定し、小型のインプラントを永久的に留置して尿道を拡張します。
デリバリーシステムから出る小さな針を通して、インプラントが前立腺の中に永久的に留置されます。

3

閉塞した尿道がシステムによって開かれ、症状が改善されます。

治療の機器

デリバリーシステムにはインプラント1個が装填されており、ひとりの患者さんに対して通常4〜8個のインプラントを留置します※1

※1. Roehrborn, J Urology 2013 LIFT Study

デリバリーハンドル

インプラント

外国製造医療機器等特例承認取得者:NeoTract, Inc.
選任製造販売業者:テレフレックスメディカルジャパン株式会社
販売名:UroLift システム
承認番号:23000BZI00038000
MCI-2022-0015

このような方へ
  • 高齢で体力が低下しており、術後合併症を発症するリスクが高い方
  • 心疾患、肺疾患、血液をサラサラにする薬を服用の方

❇︎前立腺が100㎖を超える、膀胱内突出のある前立腺肥大の方は対象となりません

治療について

特殊な医療機器を用いて前立腺を4〜8カ所止め、尿道を拡げる手術です。
所要時間は30分程度※2を予定しています。

排尿がご自身でできることが確認できましたら、退院になります。
入院期間は3日程※2の予定です。

※2.患者さんによって異なる場合があります。
画像・資料提供:テレフレックスメディカルジャパン株式会社

BioJet®前立腺生検について

より安全で正確な診断を

「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」について

当院では2020年10月より「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」を行っております。この治療法は先進医療で自由診療でしたが、2022年4月に医療保険適用になりました。
一般的な前立腺生検は超音波を用いた検査が行われていますが、この超音波検査では病変の確認が難しい場合もあります。
BioJet®システムを用いたこの技術は、MRI検査で得た画像と超音波検査の画像を組み合わせることで、癌が疑われる部位をより正確に確定し、その組織をピンポイントで採取して生検を行うことができます。そのため、従来の超音波だけの検査に比べ、より正確な診断が可能になりました。

BioJet®システム(タカイ医科工業株式会社)

対象となる方
前立腺癌が疑われる場合で、超音波による病変の確認が困難な場合。

治療実績

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
2021年 2022年
腎摘除術 開放手術 4 0 0 0 0 0
腹腔鏡手術 10 12 8 15 4 24
腎部分切除 腹腔鏡手術 8 9 10 8 4 12
自家腎移植術 - - - 1 0 0
腎盂尿管 腎盂・尿管癌 腎尿管摘除術 開放手術 1 1 0 1 2 0
腹腔鏡手術 5 4 12 9 18 15
尿管狭窄 尿管拡張術 4 7 8 0 2 4
腹腔鏡下腎盂形成術 0 2 2 0 2 2
その他 腎盂尿管鏡検査 6 5 6 4 0 7
膀胱 膀胱癌 膀胱全摘(内、腹腔鏡手術) 7 (7) 5 (4) 6 (3) 10 (4) 9 (4) 11 (3)
  尿路変向 回腸導管 6 3 2 4 7 7
尿路変向 尿管皮膚瘻 0 1 2 2 0 0
尿路変向 新膀胱造設 1 1 2 4 2 2
尿路変更を行わない - - - - - 2
経尿道的膀胱腫瘤切除術(TUR- Bt) 59 75 67 99 114 111
膀胱瘻造設術 1 9 6 9 8 5
尿失禁手術(ボツリヌス毒素) - - - 2 6 4
逆流防止術 - - - 1 1 0
腹腔鏡下尿膜管切除術 - - - 2 3 3
前立腺 前立腺癌 根治的前立腺全摘除術 開放手術 0 0 0 0 0 0
腹腔鏡手術 22 24 24 36 52 84
前立腺肥大症 経尿道的前立腺切除術(TUR-P) 2 10 7 3 3 3
経尿道的前立腺核出術(TUEB) 16 - 0 0 0 0
経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLEP) 23 64 60 70 91 94
経尿道的前立腺吊上術 - - - - - 37
尿道 尿道狭窄 内尿道切開術 1 5 8 11 14 8
尿失禁防止術(TOT) - - 2 0 1 2
包茎手術(環状切除術等) - - - - 9 13
精巣 精巣腫瘍 高位精巣摘除術 4 9 6 7 28 25
陰嚢水腫手術 2 2 7 4 9 8
骨盤臓器脱 腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC) - 1 4 1 11 16
結石 経尿道的尿管砕石術(TUL) 12 52 59 76 93 106
TAP(TUL assisted PNL)※PNL:経皮的尿管砕石術 1 1 6 6 5 4
経尿道的膀胱砕石術 4 5 5 9 13 19
その他 上記以外 10 6 25 46 38 49
手術計 202 308 338 430 540 663
前立腺 前立腺癌の疑い エコー下経会陰的前立腺針生検 129 133 163 120 90 111
エコー下経会陰的前立腺針生検【先進医療】 - - - 30 89 170
総計 331 441 501 580 719 944

2021年より集計期間を当年1月~12月へ変更。同時に複数の手技を施行した場合はそれぞれ計上。

医師プロフィール

日暮 太朗

役職

診療科長/泌尿器科副部長

専門分野・得意とする手技

泌尿器腹腔鏡手術、尿路結石

認定資格等

日本泌尿器科学会専門医
日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
身体障害者指定医

畑中 弥奈

専門分野・得意とする手技

泌尿器全般

認定資格等

日本泌尿器科学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

新井 昌弘(専攻医)

専門分野・得意とする手技

泌尿器全般

受診を希望される方

一般外来

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救急外来

救急の場合は埼玉石心会病院の救急外来を受診してください。受診の詳細はお問い合わせください。

お問い合わせ

埼玉石心会病院
 TEL.04(2953)6611 

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