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上肢の分野

母指CM関節症(親指の付け根の関節の変形性関節症)

原 因

母指(親指)CM関節は、他の指と向き合ってつまむ、握る動作を行う大きな動きのある関節です。よく動く分、使い過ぎや加齢に伴い、関節軟骨の摩耗が起きることが原因とされています。
男女比2:3で特に40歳以上女性に多く、手をよく使っている方、関節が硬い、または柔らかすぎる方に多くみられます。

母指CM関節症

症 状

  • 痛み
    物をつまむ、瓶のふたを開けるなど、親指に力を入れると親指の付け根が痛みます。
    軽症であれば、安静にしていれば自然と治りますが、進行すると以下の症状が起こる場合もあります。
  • 腫れ・動作制限
    親指の付け根が腫れ、つまむ、握るといった動作を行うとき、親指が開きにくくなります。
  • 変形
    親指の関節が曲がり、手前の関節が反る場合があります。

症 状

検査・診断

親指の付け根を押すと痛みがあり、また親指を捻るような動作で強い痛みがあるかを確認します。
レントゲン検査では、CM関節のすき間が狭く骨に異常がないか、亜脱臼などを確認します。
CM関節症以外にも、指先が痺れる「手根管症候群」や、手首が痛い「腱鞘炎」、「リウマチよる関節炎など」があり、それらとは区別しなければならず、整形外科による診断が必要です。

治 療

  • 保存療法
    抗炎症薬の注射療法、痛み止めの内服、消炎鎮痛剤入り貼り薬などを利用した対処療法が基本です。
    また痛みが頻繁に起こる場合などには、関節保護用の軟性装具装着や包帯で動きを制限し、安静を保ちます。
  • 手術療法(関節形成術、関節固定術)
    痛みが強い場合や関節変形がある場合、手術が必要となります。
    関節形成術は変形した骨を部分的に切除し、靱帯を再建します。場合により切除した骨を移植したりします。2~3週程度シーネ(あて木)の固定後、リハビリを開始して6〜8週後から日常使用が可能になります。

    関節固定術はCM関節が固定されますが除痛効果がよく、つまむ力が改善します。

    保存療法

    画像:埼玉石心会病院

術後のリハビリ

  • 母指を固定し、安静を保ちます。また母指以外の関節が硬くなることを防ぎます。
  • その後、痛みにあわせて母指の運動を開始し、徐々に関節の動きを広げる訓練をします。
  • 負荷がかけられる時期が来ましたら、つまみ動作や筋力トレーニングを開始します。
  • 日常生活に支障がなくなればリハビリ終了です。

リハビリ内容例(下記の内容などを組み合わせて行います)

  • 関節可動域訓練
  • 腱滑走訓練
  • 筋肉のマッサージ
  • 超音波療法

予 防

  • 無理な位置やバランスの悪い位置での母指の使用を避ける
  • 負荷を減らす(過剰な力を使わない)
  • こまめに休憩をとり、長時間の使用を避ける
  • 同じ動作を繰り返さない

セルフエクササイズ(母指内転筋のストレッチや筋力トレーニング)で関節の柔らかさを保ち、痛みのある時は無理をしないようにしましょう。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/15boshi-cm_3.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

動 画

山田医師による『母指CM関節症の話』はこちらから。

手根管症候群(正中神経麻痺)

原 因

手首から手のひらの真ん中にあるトンネル「手根管」の中を、正中神経という神経と指を曲げる腱が走っています。正中神経は、指先の感覚や手の動きにおいて重要な役割をはたしています。
正中神経が圧迫されると、人差し指、中指を中心にしびれ、痛みが出ます。
多くは原因不明ですが、女性に多く生じます。妊娠、骨折、手を酷使する方にも生じ、閉経、透析も原因と考えられています。

手根管症候群

症 状

  • しびれと痛み
    人差し指、中指を中心にしびれ、痛みが出ます。しびれは薬指や親指に及ぶこともあります。特徴として、明け方にしびれや痛みが強くなり、手を振ることで楽になります。

    しびれと痛み

  • 動作制限
    親指の付け根(母指球)がやせてしまい、縫い物やボタンかけなどの細かい作業が困難となり、親指と人差し指でのOKサインができにくくなります。

    動作制限

検査・診断

  • ティネル様徴候
    手首(手関節)を叩くととしびれ、痛みが指先に響きます。

    ティネル様徴候

  • 手関節屈曲テスト
    下図のように手首を曲げてしばらくすると症状が悪化します。

    手関節屈曲テスト

補助検査として、電気を用いた筋電図検査を行い、腫瘤が疑われる場合には、エコーやMRIなどの検査が必要です。

治 療

  • 保存療法
    なるべく手を使わないよう安静にします。手首に装具を装着する場合もあります。
  • 薬物療法
    ステロイド薬を手根管の中に注射し、安静を保ちます。
  • 手術療法
    正中神経への圧迫を取り除きます。患者さんの状態などを考慮して決定されます。
    どちらの治療も術後すぐに手を軽く使えますが、水にぬらしたり通常の使用ができるのは術後2週前後です。
    • 関節鏡視下手根管開放術
      内視鏡を用いて、小さな切開で行います。キズが小さく痛みも少ない傾向があります。
    • 手根管開放術
      手のひらを3cm程度切開して行います。

手術療法

予 防

日常的に手首を休ませるようにしましょう。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/1shukon_4.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

肘部管症候群

原 因

肘の内側にある「尺骨神経」という小指側の感覚と手指・手首の運動を司る神経が傷み、初期には小指や薬指の一部にしびれ感がでます。
尺骨神経が慢性的に圧迫されたり、牽引されることで発症します。以下のような原因があげられます。

  • 神経を固定している靭帯やガングリオンなどの腫瘤による圧迫
  • 加齢に伴う肘の変形
  • 肘の骨折による変形
  • 野球や柔道などのスポーツによるもの

症 状

  • しびれ感
    麻痺の進行により症状が異なります。初期は小指と薬指の一部にしびれ感が出ます。
  • 変形
    進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と薬指の変形が起きます。

    変形

    変形

検査・診断

肘の内側を叩くと小指と薬指の一部にしびれが走ります。
レントゲン検査で外傷や加齢に伴う肘の変形が見られることがあります。
筋電図/神経伝導検査やMRIを行うことがあります。

検査・診断

治 療

  • 保存療法
    薬物の投与・肘の安静を行います。
  • 手術療法
    • 尺骨神経を圧迫している靭帯の切離やガングリオンの切除を行います。
    • 神経の緊張が強い場合は、骨を削ったり、神経を前方に移動させる手術を行います。外反変形などの肘の変形がある場合には、変形を手術的になおす場合もあります。

    手術療法

予 防

  • 肘を曲げることが多い(仕事で電話をかける事が多い、デスク作業が多い)方は要注意です。
  • 無意識に強く肘を曲げやすい就寝時などは、肘にサポーターやタオルを巻くことも効果的です。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/8hiji_4.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

キーンベック病(月状骨軟化症)

原 因

手首の真ん中にある骨「月状骨」の血行障害により、月状骨がつぶれる病気です。
原因は不明です。月状骨は、周囲がほぼ軟骨に囲まれており血行が乏しいため、血流障害になり壊死しやすい骨のひとつです。

キーンベック症

症 状

  • 痛みと腫れ
    手を使った後、手首の真ん中付近に痛みや腫脹(炎症などによる腫れ)が起きます。
  • 動作制限
    次第に手首の動きが悪くなり、握力が低下します。

    動作制限

検査・診断

症状とレントゲン検査で変形があれば、診断がつきます。MRI検査が早期診断には有効です。

治 療

  • 保存療法
    初期や痛みが強い時にはギプスや装具で固定し、手首の安静を保ちます。
  • 手術療法
    • 橈骨(とうこつ)短縮骨切り術
    • 骨移植
      従来の治療の多くは血行障害で壊死した月状骨そのものは改善しません。当院では病態に応じて橈骨(手首の骨)や大腿骨(太ももの骨)から血管ごと骨移植を行い、月状骨そのものを生き返らせる治療も行っています。
    • 月状骨の摘出と腱球挿入(腱を丸めて、月状骨を摘出した部分に入れる)
    • 人工月状骨移植

    手術療法

予 防

はっきりとした予防法はありませんが、早期発見が大切です。
症状が起きた時には早めに整形外科を受診しましょう。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/16ki-nbekku_2.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷

原 因

手首の小指側にあり、手のクッションとしての役割や安定性を保つ役割を担う「三角線維軟骨複合体(TFCC)」が損傷し、痛む病気です。「三角線維軟骨複合体」靭帯と軟骨の複合組織です。 「三角線維軟骨複合体(TFCC)」が損傷されることで痛みが出現します。
けがによるものと加齢に伴うものに大別でき、後者では無症状のこともあります。

TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷

症 状

  • 痛み
    腕を捻ったり、手首(以下、手関節)を小指側に曲げた時に、手関節尺側(小指側)に痛みが出現します。ドアノブを捻る時や鍋などを持ち上げる時などにも痛みが出ます。

    痛み

検査・診断

手関節尺側の圧痛、運動時痛。手関節を尺屈(小指側に曲げる)した状態前腕を回旋させると痛みが誘発されます(コンプレッションテスト)
そのほか、レントゲンで橈骨・尺骨の長さに違いがあるかをチェックしたり、関節造影やMRIを行う場合もあります。

検査・診断

治 療

  • 保存療法
    • 固定やサポーターによる局所安静を行います。

      保存療法

    • 局所麻酔剤入りのステロイドを注射して、炎症を抑えることもあります。

      保存療法

  • 手術療法
    「内視鏡」による修復術や「尺骨短縮術」など様々な手術法があります。
    当院では内視鏡による修復術も積極的に行っています。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/27TFCC.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

腱板断裂

原 因

上腕の骨と肩甲骨とをつなぐ腱が加齢やけがが原因で切れた状態です。断裂型には、完全に切れてしまう完全断裂と、一部が切れてしまう不全断裂があります。不全断裂の方が症状が軽く、治りやすいということではありません。
50歳以上の方に多くみられ、また、仕事や運動で肩を酷使した人も注意が必要です。
肩に強い痛みを感じるなどの症状は四十肩・五十肩に似ていますが、腱板断裂は自然には治らず、肩に力が入りにくい状態や痛みがいつまでも続きます。自分で症状に気付かない場合もあります。

腱板断裂
日本整形外科WEBサイトより

症 状

  • 痛み
    肩を上げる途中、特定の姿勢(横に上げる、後ろのものをとるなど)で痛みを感じます。また夜間に痛みを感じ、睡眠障害を生じることがあります。
  • 動作制限
    肩が動かない、力が入らない、逆の手で肩を支えないと姿勢を保てないなどがあります。

検査・診断

  • 診察
    肩を上げる途中で痛い、肩を水平にあげてひねると音がする、肩をひねってあげると力が出ないといった症状をみます。
  • MRI検査
    正常な場合は、腱が上腕骨まで連続して見えますが、断裂した場合は、腱が途中で途切れてしまっているのが見えます。

治 療

  • 保存療法
    • 薬物療法(消炎鎮痛剤など)
    • 関節内注射(ステロイド、ヒアルロン酸)
    • 残った腱板の訓練(ゴム、ペットボトルなどを使用)
  • 手術療法
    保存療法で肩関節痛と運動障害が治らない場合は、切れた腱板を骨に縫い付けます。
    当院では関節鏡視下手術を積極的に行っています。
    • 関節鏡視下手術(低侵襲手術)

      内視鏡を用いて、小さな切開で行います。キズが小さく痛みも少なく、術後の回復も早い傾向があります。

    • 直視下手術(通常の手術)

      当院で行うことは稀ですが、追加の処置が必要な時に行うことがあります。

      直視下手術 直視下手術

      画像:埼玉石心会病院

  • 術後について
    • 4~6週「外転枕」で固定
    • 1週以内にリハビリを開始
    • 6週から自分で動かせるようになる
    • 3か月で元の生活へ
  • 入院期間とリハビリ

    主に2つパターンがあります。

    • 1~2週入院をし、退院後通院をしてリハビリを行うパターン
    • 4~6週「外転枕」が外れるまで入院し、その間並行してリハビリを行うパターン

予 防

  • 肩や肩甲骨の柔軟性をストレッチなどで高める(痛みのある時は無理をしない)。
  • 重たい物を持つ時は、両脇を締め、手のひらを上に向けて肘を曲げるように持つと、腱板に負荷がかかりにくい。

https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_016.pdf
※日本整形外科学会「整形外科シリーズ 16」より引用。

動 画

山田医師による『肩の痛み 〜腱板断裂の診断と治療〜』はこちらから。

胸郭出口症候群

原 因

首と胸の間にある通路「胸郭出口」には、脳から伸びる神経が通っています。その神経が、首からわきの下に抜ける際に圧迫されたり、絞めつけられたりすると症状が出ます。
主な圧迫箇所は以下です。

  • ① 前斜角筋と中斜角筋の間
  • ② 鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙
  • ③ 小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方

重いものを持ち上げる運動や労働、悪い姿勢、無理な腕・肩の筋トレ等が原因にあげられます。また「頚肋(けいろく)」という頚椎から発生する肋骨や、骨の奇形・異常な線維によって神経が圧迫されることもあります。

頚肋(けいろく)
日本整形外科WEBサイトより

症 状

  • しびれと痛み
    つり革につかまる時など腕を上げる動作で上肢のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。
  • 動作制限
    握力低下、細かい動作がしにくいなどの症状があります。手指の運動障害や握力低下のある例では、手内筋の萎縮により、手の甲の骨の間がへこみ、手のひらの小指側の盛り上がり(小指球筋)がやせてきます。
  • 手・腕の血色
    鎖骨下動脈が圧迫されると、上肢の血行が悪くなって腕は白っぽくなり、痛みが生じます。鎖骨下静脈が圧迫されると、手・腕は静脈血のもどりが悪くなり青紫色になります。

検査・診断

なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶ仕事をしている方で、前述の症状があれば、当てはまる可能性があります。

  • チェックテスト
    アドソンテスト、ライトテスト、ルーステスト、エデンテスト、モーリーテストなどがあります。神経や血管が圧迫されやすい体勢をとることで、手首のところの橈骨動脈が弱くなるか触れなくなるか、しびれや痛みが出るかなど、症状の確認を行います。
  • レントゲン検査
    頚肋の有無を確認します。
    肋鎖間隙撮影(鎖骨軸写像)で、鎖骨や第1肋骨の変形によって、この間隙が狭くなっていないかを確認します。
  • MRI検査
    頸椎疾患との鑑別のために、頸椎のMRI撮影を行う場合があります。

治 療

  • 手術療法
    • 保存療法

      姿勢・日常生活の動作の改善、上肢や肩甲骨周囲の筋肉のストレッチなどを行います。また器具を使って姿勢の矯正を行う場合もあります。

    • 薬物療法

      消炎鎮痛剤や血流改善薬、ビタミン剤により症状を軽減させます。

    • 手術療法

      神経や血管への圧迫が強い場合には第一肋骨切除を、頚肋が原因の場合は頚肋切除を検討します。

      胸郭出口症候群

      画像:埼玉石心会病院

予 防

症状を悪化させる上肢を挙上した位置での仕事や、重量物を持ち上げるような運動や労働、リュックサックで重いものを担ぐようなことを避けましょう。

※日本整形外科学会WEBサイトより引用。

前骨間・後骨間神経麻痺

原 因

前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経です。その神経に炎症、外傷、圧迫を受けることが原因といわれています。
前骨間神経は、肘の辺りで分かれる正中神経の枝の一つで、親指と人差し指を支配する神経です。この部分に損傷を受けると、前骨間神経麻痺の症状が出ます。
後骨間神経は、肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸ばすいくつかの筋肉を支配します。
どちらも皮膚を触った感覚には異常がないのが特徴です。

症状・検査・診断

肘周辺が痛み、肘が伸ばし難い日が続きますが、3~7日で痛みは消えます。その後、麻痺が生じていることに気づきます。

  • 前骨間神経麻痺
    • 親指と人差し指の第1関節が曲がらない。
    • 皮膚の感覚障害はない。
    • 親指と人差し指で丸を作ると親指と人差し指の第1関節がそり返り、涙のしずくに似た形となる(涙のしずくサイン陽性と言われる)。

      前骨間神経麻痺
      整形外科学会WEBサイトより

    • 筋電図検査、レントゲン検査、MRI検査など必要に応じて行う。
  • 後骨間神経麻痺
    • 手首をそったり、曲げたりはできるが、手指の付け根の関節を延ばせなくなる「下垂指」になる。

      後骨間神経麻痺
      整形外科学会WEBサイトより

    • 皮膚の感覚障害はない。
    • 筋電図検査、レントゲン検査、MRI検査、超音波検査など必要に応じて行う。

治 療

  • 保存療法

    神経炎など原因が明らかでないものや回復の可能性のあるものを対象に行います。
    3~6ヵ月ほど経過を観察します。大方は回復しますが、数%の方は回復しないこともあります。

  • 手術療法

    3~6ヵ月ほど様子を見て回復しない場合は、神経剥離、時には神経のくびれ部の切除・縫合などの手術が行われます。しかし神経炎で手術をするかしないかは、議論のあるところです。

※日本整形外科学会WEBサイトより引用。

デュピュイトラン拘縮

原 因

手掌から指にかけて硬結(しこりやこぶのようなもの)ができ、皮膚がひきつれて徐々に伸ばしにくくなります。薬指や小指に多く見られますが、他の指や足の裏にもできることがあります。痛みや腫れなどはほぼありません。
詳しい原因は不明ですが、高齢男性、糖尿病の患者さんに多く見られます。

デュピュイトラン拘縮

症 状

  • 初期症状
    • 手のひらにしこりやくぼみが出現する。
  • 中期症状
    • 拘縮索(皮下にある手掌腱膜の線維(コラーゲン)などが束になったもの)が出現する。
    • 徐々に指が曲がり始め、関節の動きが制限される。
    • 痛みを伴うことはまれだが、一時的に痛みや腫れを伴うことがある。
  • 後期症状
    • 指を伸ばすことができなくなり、日常生活に支障をきたす。

検査・診断

腱の断裂や癒着、腫瘍など他の病気と区別する必要がありますが、手のひらの硬結と典型的な指の変形などにより、専門医がみれば診断がつきます。

治 療

  • 手術療法
    • 腱膜切除

      指の変形で日常生活に支障をきたすようになると、皮膚の突っ張りをとる手術(腱膜切除)を行います。
      おおよその手術の適応は手掌を机にぴったりつけられるかどうかを試し、浮いてぴったり着かなくなった頃と考えてください。第2関節が曲がってきた場合には、早めに手術が必要になることもあります。

      腱膜切除 腱膜切除

      画像:埼玉石心会病院

  • 手術後のリハビリ・装具療法

    リハビリや夜間伸展位固定(装具療法)などの術後療法が大切です。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/17dyupyuitoran_2.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。

リウマチ手(人工指関節)

疾患について

関節リウマチは自己免疫疾患という病気のひとつです。人間の体は、外部から細菌やウイルスといった異物が入ってくると、攻撃して排除する防御機構が働きますが、リウマチでは正常な防御機構が働かなくなり、間違って自分自身を攻撃してしまいます。リウマチの場合、攻撃される箇所は関節が圧倒的に多いです。
30代~50代の女性が多く、男性の3~5倍といわれていますが、高齢者や男性の患者さんも増えています。
また関節症状に加えて貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。

治 療

薬物療法、リハビリテーション(理学療法)、手術などがあります。
当院ではリウマチ内科の専門医が薬物治療を行い、整形外科医が手術、理学療法士がリハビリテーションを行っています。
手術治療には肩、肘、手、指の人工関節置換術、滑膜切除術、関節形成術(ソーベ・カパンジー法)などがあります。関節形成術(ソーベ・カパンジー法)の場合、腱断裂を伴うことが多く、その再建も行っています。

ブシャール結節(人工指関節)

原 因

指の第2関節(PIP関節)が変形し曲がってしまう疾患です。複数の指に症状が出ることが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。原因はよく分かっていませんが40歳以上の女性に多くみられます。

症 状

  • 人差し指から小指にかけて第2関節が赤く腫れたり、曲がったりする。
  • 痛みを伴うこともある。
  • 動きが悪くなり、痛みのために強く握ることが困難になる。
  • 第2関節の近くに水ぶくれのような透き通ったでっぱり(ミューカスシスト)ができることがある。

検査・診断

第2関節の変形、突出、疼痛があり、レントゲン検査で関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨の一部がとげ状になった骨棘(こっきょく)があれば診断できます。

治 療

  • 保存療法

    局所の安静(固定も含む)や投薬、局所のテーピングなどを行います。

  • 薬物療法

    急性期では少量の関節内ステロイド注射(特にトリアムシノロンは有効)なども有効です。

  • 手術療法/人工指関節置換術

    障害の起きている関節を人工関節に置き換える手術です。人工関節の固定には、骨セメントを用いる方法と骨セメントを用いずに直接骨に固定する方法とがあります。どちらの方法を選択するかは、患者さんの年齢や骨の質、形状、または人工関節の機種によって判断されます。

    ブシャール結節(人工指関節) ブシャール結節(人工指関節)

    画像:埼玉石心会病院

切断指再接着

原 因

指を電動のこぎりや除雪機などの刃により切断される外傷です。プレス機などに指を挟め、引き抜いた際に切断される場合もあります。
切断指では、骨や腱、神経、血管などのすべての組織が断裂します。指が体から完全に離れた場合を「完全切断」、皮膚などの一部の組織のみでつながっている場合を「不全切断」と言います。どちらの切断でも、早急に血行を再開させなければ指は壊死してしまいます。

治 療

できるだけ早く血行を再開する必要があります。治療は手術しかありません。このような手術を再接着術といいます。再接着術では、骨接合と腱縫合、手術用顕微鏡を用いた血管・神経縫合を行います。ただし、切断端が汚染されていたり、切断指が引きちぎられたり、つぶされたりした場合には、再接着術ができない場合があります。

  • 指再接着術

    骨をピンで固定し、腱を丈夫に縫合糸、神経・血管を顕微鏡を用いて縫合します。最後に皮膚を閉じます。

    切断指再接着

    切断指再接着

    切断指再接着 切断指再接着

    画像:埼玉石心会病院

  • 適応となる症例
    • 親指の完全切断
    • 鋭利な切断
    • 多数指の切断

    注:潰れてしまった、引き抜かれた、時間が経過した状態の指の再接着術は困難です。全ての再接着が成功するとは限りません。

手術をした後の療法

  • 腫れの予防
    • ガーゼと包帯でふわっとした創閉鎖
    • 患肢の挙上
  • 血栓(血管のつまり)の予防
    • 保温
    • 抗凝固剤(血液さらさら)の使用
    • 喫煙の禁止

    切断指再接着

  • リハビリ
    • リハビリの先生による指関節の運動
    • 自力での指関節の運動
      軽い他運動(第三者や器具のサポートで動かす)から始め、自動運動(自身の力)へと進みます。その後、装具を外して作業療法を開始します。

再接着を受けた指の予後

切断のされかたや部位によって異なりますが、再接眉術をしても完全に元通りに戻るわけではありません。

  • 切断部位に近い関節では、動きが悪くなることがある。
  • 指の感覚障害や寒冷不耐性(寒い環境での痛みやしびれ)が残ることがある。
  • 症状により、追加の手術が必要になることがある。

https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/14setsudan_4.pdf
※日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用。